「ブラウン・バニー」は「母を訪ねて三千里もの(花の名前の女たちとの出会いと別れを経て母のイメージを追う)」かと思いながら見ていたらそうではなく、では「茶色いウサギ(ブラウン・バニー)を車に乗せて西海岸へ恋人を訪ねる旅もの」かと当たりをつければそうでもなく、ラストで「へえ〜、そうきますか」とちょと驚かされるお話でした。

女たちを中途半端につき放しても「何さこのヘンタイ」などと怒鳴られることもないのは、自分で本を書いているから…という意見はひとまずおいといて、やはりヴィンセント・ギャロは人に使われるより、この作品のように監督・脚本・編集・製作・主演という本人が仕切った世界で活躍するほうが本領発揮するタイプではなかろうか。「縁の下の力持ち」クロエ・セヴィニーは存在感があってよい女優さんだと思う。

本筋とは逸れるが、車外のいかにも大味な風景(住宅街とか町なか)が私としてはアメリカらしくてよかった。フロントガラスが汚れているのもらしくてグーである。

「ブラウン・バニー」って結局ヴィンセント・ギャロのこと? フェミ的にはNGな部分もあるでしょうが、煮詰まってベッドの上でまるくなるギャロはある意味キュート。このような男を(平手打ちしたりせず説教もせず)受けとめられる包容力のある豊かな女性になりたいものだが…とりあえず今は私もまるまりたい。パンフレットで「男気」と評していた人がいたが、あれを「男気」呼ばわりしていいの?いいの? まあ殴打する男よりは好ましいが、現実の女性はすぐに母になってくれるとは限らないから大変だゾウ。

映画のあとで近くのカフェにて「ブラウン・バニー」セットを友人のおごりでいただく(ありがと)。これはリッチな味のブラウニー(生クリーム添え)とエスプレッソの組合せなのだが、それを「コーヒーにできないの?」とごねたりする私は「ブラウン・バニー」のような映画に同化できる世代からはふてぶてしく隔たったなあとも思ったことだった。

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