友人Pが「招待券があるから」と誘ってくれ、↑を新宿コマ劇場にて観た。

未来の管理社会では、自由に演奏することが禁じられ、かつてのロックは封印されていた。それに反抗する若者たちが自らの手に音楽を取り戻そうと立ち上がる。パワー・トゥ・ザ・ピープル…てなお話はどうでもよく、舞台の目玉は英国の偉大なロックバンド、クイーンのヒット曲満載の音楽。ヴォーカリスト、フレディ・マーキュリーは若くして亡くなったが、オリジナルメンバーであるブライアン・メイとロジャー・テイラーはこの舞台の監修に全面協力している。

キャストは全員、本当に歌が上手い。けれども上手いからといって、クイーンの曲が再現できるというものでもなく、やはり何かが欠けている、という当然といえば当然な事実を何かにつけ感じるので、(その場にいない人なのに)フレディのカリスマ性をつくづく思う。クイーン・ファンの人にとっては、行こうか行くまいか引き裂かれるところかもしれません。けれども、いわゆるこれは「クイーンの商業利用」であると割り切り、「あれもこれもクイーンと違―う」という思いをいったん捨てることができれば音楽を純粋に楽しめます。とにかく聴き応えがあるから。友人Pたんがいみじくも指摘したように、主演の青年がフレディの真似をしようとしたりもせず、とても素直な歌い方をするのも好印象に一役買っているだろう。

前半、私はそうした違和感もあり「どうなることやら」と不安もあったが、後半になるにつれ舞台に勢いが出てきて、すっかりひきこまれた。終盤では全員総立ちでタイトル曲を手拍子、アンコールではオールキャストによる「ボヘミアン・ラプソディー」も聴けます(しかしこれを4人でやっていたんだから凄い)。

観客は年齢層が高めで、わりとちゃんとした格好の人が多いように思ったので気づかなかったが、舞台後半で「クイーンねた」がばかうけしているので、信者さんだと思いいたる。クイーン信者の集い。ちなみに多少のクイーン知識、(古い)洋楽知識があるとこの舞台はなお楽しめます(男の子がガリレオ、女の子がスカラムーシュ、といった調子)。

ミュージカルなので踊りも当然ありますが、ダンスはいまひとつ。前半はとくに、舞台が近いのにエネルギーが弱い感じがしたのだが、考えてみれば本当はもっと大きな舞台に乗せるべきなのではないだろうか。新宿コマも客席がゆるいすり鉢状(しかも座席が「いろは順」)で、どことなく演芸風味が漂っていたりするのがほほえましいが、とにかく舞台が「狭っ!」 どこぞのお教室の発表会じゃあるまいし…。余計なお世話かもですが、これから8月末までロングランなんて大丈夫なんですか? チケット結構、高いのに。国際フォーラムみたいな広い空間で、きりっと終わらせたほうが映えたんじゃなかろうか。

設定が300年後くらいらしいのに、なぜか衣装だの振付だのがどことなく80〜90年代テイスト(笑)。それにそのぐらい未来になると、「インターネット」だの「eメール」ってもうないんじゃないかという気もする。そういうゆるさも含めて、お話はまんがちっくであるものの特に中年は安心して和める舞台であると思います。

観終わるとやはりオリジナルが聴きたくなる。ので帰って聴いた。「持ってない」という人はベスト盤↑くらい一家に一枚、ぜひ買ってみましょう。クイーンの前にも後にもクイーンなし。リスペクトしております。

公式サイト http://www.wwry.jp

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