正月から血みどろでなんですが、遅れ馳せながら桐野夏生の「OUT」(講談社文庫 上下巻 2002、親本1997)を読んだ。(ねたばれるかもです)

女が夫を殺し、パート仲間たちが死体をバラバラにする話でしょ…というのは知っていた。が、いわゆる「ミステリー」で、彼女たちもいつかは捕まって罰せられるのだろう、という私のちんけな想像をはるかに越える小説だった。実際、この作品のなかでは警察なんておそろしく非力だ。

「ダーク」にしろ、「グロテスク」にしろ桐野夏生は「毀(こわ)れている」「毀れゆく」人間の書き方がうまい。彼女の小説においては、何かが「損なわれている」という意味でなく、現実を切り開くオルタナティブな力のある存在として、「毀れた」人間が生かされているように思う。わかりやすく大文字で書かれてはいないが、紛れもなくそれは「救い」だ。「この「OUT」でも同様で、タイトルは「人の道にはずれた」と「(行き詰まった現状からの)出口」というふたつの意味がかけられている。

「OUT」は凄惨で冷酷だが、最後にカタルシスが訪れる。非情のなかにも(だからこその)情がある。こういうの私は好きだ。

*********
うちに両親、妹とその娘たちが来てお昼&お茶。ピザとかケーキとかさんざん食べる。犬だけではなく、自分も丸くなっていないはずはない。そして明日から仕事なんて、早い、早過ぎるよ!まだまったりしていたい。新しいPCのセットアップもやっぱりできず。

コメント

nophoto
bluesublimination
2006年1月4日1:17

Suicaさん あけましておめでとうございます
コメント復活してよかった^^
私もお正月から連続殺人鬼の映画を観ていました。。
桐野さんは1作しか読んでないんだけどすごーく興味あります。
2006年がSuicaさんにとっていい年であるように!

Suica
Suica
2006年1月5日1:42

bluesubliminationさん:
わー、コメントありがとうございます。
自分の具合によって、コメント対応まで手に追えないかもと思い止めていたんですよね。
桐野夏生さんは、容赦ないなかに実は情が深いところもあって私は好きです。
bluesubliminationさんにとって、今年がいいこといっぱいある年になるようお祈りしております☆

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