言葉にしないこと

月曜のレッスンで会う女性がいる。たぶん少し年上、話好きで、若々しい服装をしている。彼女が更衣室で言うには「ダンスに夢中」「舞台でスポットライトを浴びるのがとにかく好きなの」「舞台で死ぬのが夢」だとか。

聞いたときに、嫌な感じがした。とくに最後のやつ。今日になってわかった。「なんて勝手な人だろう」と。
自分がオーナーで劇場でも持ってるならご自由にだけど、それがどれだけ舞台や舞台に関わる人、お客さんの迷惑になるかちっとでも想像できないのだろうか？　プロならまだしも、素人なのに。深く考えないで言ったのかもしれないが、聞き流せなかった。

それと…こういうこと口に出して言っちゃうんだ、という驚き。ほんとうに大事なことのいくつかは、私は言葉にできない。

言葉にしないで、待ってる。待ってるあいだ、そのことを思っていたり、見ていたりする。そういう類のことが今もいくつかある。そういうふうに温めていると、いつ外に出したらいいか、言葉にできるタイミングを教えてくれる。すごく時間がかかったりするけど、言葉にしないことも、慈しみだと思う。