観たもの・読んだもの
2007年2月24日 読書
*「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 早川書房 2006)。
話がテンポよく運んでとにかく飽きさせない、という本も悪くないが、物語世界の構成密度が高いというか、あたかもどこかにその世界がひっそりとあるかのように読者に信じさせる説得力と静謐を併せ持つような語り口の小説に私はとりわけ愛着する。本書は私にとってその類の一冊。
あとがきで柴田元幸氏が、本書を読むのに「予備知識は少なければ少ないほどよい」と書いておられる通り、内容には触れないことにするが(アマゾンの読者レビューは、読む前に見ないほうがいいと思う。ネタバレ気味)、作者の「抑制の効いた」描写の心地よいこと! 自分はこの手の表現に(なんの分野にせよ)惹かれることを確認。「残酷」「不平等」だとか…それらは上からの視線だと思う。そうした視点からではこのようなお話はつくれないはず(「優しい」「人間味ある」とかそういう意味ではなく、「内側から」「同じ高さで」というニュートラルな意味)。ぜんぜん内容紹介になってまぜんが、好ましい。こういう姿勢ってかなり好きなのだ。再読すると思う。
*マドモワゼル・シネマ「冬の矢来町界隈 2月のマーチ」@セッションハウス。
一方こちらはコンテンポラリー・ダンスの公演。初めて観たのですがM・シネマのダンサーたちって若い! 20代かなぁ、ぴちぴちです。タイトルとは関係なく(…あるの?)、テーマは「運動会」だった。観客有志と走ったりもしてた。予想していた以上にガーリーな感じ。今では珍しいことではないけれど、この公演でもダンサーたちが時に「喋って」いた。セリフ(だかアドリブだか)のことだけでなく、「もっと何もしなくていいのに」とも感じた。単純にスペースの大きさに対して、ダンサーの数(11人)が多いようにも思った。ピアノとチェロの生演奏がすごくいい。ゲストダンサーである、韓国のホン・ヘジョンさんが楽しそうにやっていてよかった。併設のショップでコサージュをなんとなく買って帰る。
話がテンポよく運んでとにかく飽きさせない、という本も悪くないが、物語世界の構成密度が高いというか、あたかもどこかにその世界がひっそりとあるかのように読者に信じさせる説得力と静謐を併せ持つような語り口の小説に私はとりわけ愛着する。本書は私にとってその類の一冊。
あとがきで柴田元幸氏が、本書を読むのに「予備知識は少なければ少ないほどよい」と書いておられる通り、内容には触れないことにするが(アマゾンの読者レビューは、読む前に見ないほうがいいと思う。ネタバレ気味)、作者の「抑制の効いた」描写の心地よいこと! 自分はこの手の表現に(なんの分野にせよ)惹かれることを確認。「残酷」「不平等」だとか…それらは上からの視線だと思う。そうした視点からではこのようなお話はつくれないはず(「優しい」「人間味ある」とかそういう意味ではなく、「内側から」「同じ高さで」というニュートラルな意味)。ぜんぜん内容紹介になってまぜんが、好ましい。こういう姿勢ってかなり好きなのだ。再読すると思う。
*マドモワゼル・シネマ「冬の矢来町界隈 2月のマーチ」@セッションハウス。
一方こちらはコンテンポラリー・ダンスの公演。初めて観たのですがM・シネマのダンサーたちって若い! 20代かなぁ、ぴちぴちです。タイトルとは関係なく(…あるの?)、テーマは「運動会」だった。観客有志と走ったりもしてた。予想していた以上にガーリーな感じ。今では珍しいことではないけれど、この公演でもダンサーたちが時に「喋って」いた。セリフ(だかアドリブだか)のことだけでなく、「もっと何もしなくていいのに」とも感じた。単純にスペースの大きさに対して、ダンサーの数(11人)が多いようにも思った。ピアノとチェロの生演奏がすごくいい。ゲストダンサーである、韓国のホン・ヘジョンさんが楽しそうにやっていてよかった。併設のショップでコサージュをなんとなく買って帰る。
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