「破れ傘長庵」
2008年12月12日結城座@世田谷シアタートラム。人のひざ丈くらいの人形と、長庵役の生身の人間(串田和美)がふつうにからんでいる、という異界っぷりにものすごく驚く。人形劇はけこみ(人形遣いが隠れる部分)のなかでするものだと思っていました(実は学生時代の部活が人形劇/影絵だった自分)。つまり人形遣いが全身を舞台に出して演じているわけ。全身黒子ではなく、顔の部分が外に出てる。そういった演じ方を観るのは初めてで、斬新に感じられた。ただ人形そのものの動きを集中して見るには、やはり腰くらいまで人が隠れていたほうが見やすいというのはあるし、全身が出る分、扱う人間の動きや存在がどうしても気になる。かといってまるっきり黒子になっても重くなるしで悩ましい。終盤、長庵(徹底した悪漢)を取り押さえようとして、人形遣いの操る人形が次々に斬り倒され、人形遣いたちが人形遣いでなくなる、というか人形を使わずに人形遣いとして立つ場面は思わぬ切り換えの鮮やかさに、はっとした。長庵が「地獄で会おうぜ」(とかなんとか)言ってぷつっと終わるのもクールだ。照明、美術もろもろプロダクションがうつくしい。とりわけ音楽・生ピアノby高橋悠治っちゅー贅沢。江戸時代から370年(!)の歴史をもつという糸あやつり人形芝居、コンテンポラリーな要素もあってスタイリッシュ、とても面白かったです。
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