D.I.D.

案の定、朝から落ちた。余裕がないときは音楽も受け入れる余裕がなく、同じ曲ばかりループして何度も聴いた。Jackie Blue(Ozark Mountain Daredevils), If you were there, That Lady(Isley Brothers)。ジャッキー･ブルーは70年代の名曲。

http://www.youtube.com/watch?v=Mz4tMKErcZw

夜、友人と「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」（http://www.dialoginthedark.com/）へ。以下、ねたばれします。

完全に光を遮断した空間を、アテンド（視覚障害者の方）に導かれ8人のグループで進む。私はひたすら暗闇をストイックに体験するのかなと期待をこめて想像してたらそれとは違って、もちっと「きゃーきゃー」した印象。空間のなかでは声を出してコミュニケーションしなければならない。誰かに触れたら「あ、人間」って思って黙っていてはいけないらしく（あぶないから）、「○○です」といちいち名前を言わないといけないのだ。おおむねくっついて行動しているので、この「自己申告」（笑）に忙しい。空間は木があったり、橋があったり、家があったり（縁側から室内へあがれる）…サービス満点にしつらえてあるので、それもいちいち触れて体験するのに忙しい。

なんか、もっと地味でいいと思うんですけどね。個人的には「コミュニケーション」と美術というかセット（？）の要素が多すぎて、かんじんの暗闇にフォーカスするゆとりがなかったように思う。ぽつんと暗闇のなかにいてみたかったです。もっとものがなくて、ただ暗闇を体感するツウな空間でよいのでは。いろいろありすぎて、視覚以外のどの感覚が…というのもぼやける。

ほんとうは何もない空間で、なにも見えないまま自由に動いてみたい（素足で。靴でふまれたら危険）。どういう感覚で、どういう動きになるのか、というのを試してみたい。まぁいろんな人がいるので、自由度をあげるのも難しいのかもしれないが。

「完全暗転」したなか舞台にでていくほうが、これよりどきどきする。あかりがついたときに自分がとんでもないところにいたら台無し（さいごにおじぎをするとき、ひとり間抜けな場所にいたことがある）。

しかし、ここにたどり着く前に道に迷ってしまい、ディープ青山で遭難、挫折しかけたこととか、拾ったタクシーの運転手さんが自信満々で下ろした目印のバス停が違っててくらくらしたとか、という事前のシュールな体験のほうがインパクトありました。そしてひさびさに再会できた友人と、空白の2年間を埋めるべく濃いぃ話ができたこととかのほうが、これまた心満ちる時間でありました。このお年頃はまったくいろいろ降りかかるものです。