「空気人形」

2009年10月7日 映画
うーん、期待していたのですが辛口になってしまいます。

冒頭「ずいぶん簡単に人間になっちゃったな」という印象。人形が心をもつって結構おおごとだと思うけど。しかも、ここで変わるだろうと思ったところで変わってしまった。もっと(心をもつ前の)人形である時間を長く見せてもよかったんでは。ペ・ドゥナはかわいいけど(特に背中がチャーミング)、人形というより単に風変わりな人間の女の子に見える。私がいちばんひっかかったのがこの部分だ。彼女の「人形性」が私には説得力をもって伝わらないせいか、私はどうも入り込めず。難しいことだけど、「心をもってしまった人形」を(衣装やメークに頼るだけでなく)身体でもっと表してほしかった。

「人形がいきなり心をもってしまう」んだけど、その後の彼女の心の発達というか情緒の流れがうまく紡がれていない感じがする。イノセントであるはずのところからの成長なり変化が、時系列的にしっくりしない。別に善悪の問題ではないけど、好きな相手ができて、「ご主人様」に対しては気持ちがむかわずさっさとそっけなくなるとか(切り換え早っ)…中盤過ぎて、「ご主人様」に「私は代用品なんでしょう」みたいなことを言って詰め寄るシーンが唐突に人間の女くさくなってたとか、やっぱりここでも「心をもってしまった人形」というより、あらかじめ人間な感じがどちらかというとする。

人形⇔人間があいまいなせいか、ストーリーは焦点がぼやけていて遭難気味。いっぽうで説明的に感じるシーンが多かった。「心をもつことは切ないことでした」とまず#台詞で#言ってしまってはだめでしょう。

まわりの人間たち(特に過食少女、こういう安易に記号的な使い方はイヤだな。他のキャラにも言えることだけど、リンゴを置いたり絵的にまとめるんじゃなくて、むしろもっとえげつなく過食のシーンを描いてほしかった。底まで落ちてこその「救い」だから)のエピソードもあまり効いてないように思う。「心をもつ」という大テーマを(全部やらなくていいから)もちっとうまく切り取ってさばいていたら、映像やキャストももっと生きた気はします。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索