@にしすがも創造舎。「哲学するヒップホップ」と評されるブラジルのダンス・カンパニー。フェスティバルトーキョー参加作品。

何度か繰り返される、呼吸とともに腕を小刻みに動かして、自分のそばの空間を切るような動作。これはもっと上手にできる人がいるんじゃないでしょうか。特にこういった細かい振りに、なんの質感も伴わない。いっそ普通にポップでもしたほうがなんぼか面白かろう、と思いました。

震えたり、止まったりの動きもあったけど、それもくっきり違いが見えない。前半は無音部分が続くが、音なしで見せるほど動きのキレがあると思えなかった。衣装もカジュアル、舞台も特に仕掛けはないし、こういうシンプルなつくりで見せるなら(もう見るものは動きそのものなので)、なおさらクリアにしてほしいと思う。

振り(だよね? インプロではないですよね)がつまらないと思う。単調。複雑にすりゃいいわけじゃないけど、せっかくのダンサーを生かしてないというかもやもやする。これも繰り返される、腰を落として床を転がる動きとか、背中をそらせるやつとか、面白くない。腕はせっせと動かしてるのに、足はふつうに歩いているだけとか。流れがふつっ、ふつっと切れるんだけど、この演出が「哲学」?なんだか外人が考えるZENみたいだなーとか思ったよ。

せっかくガタイのいい人たちが出てるのに、あんまり難しいことやってない(私はできないですが)。後半、やっと大技(倒立のバリエーションみたいなやつ。すみません、なんか名前があるはず)が繰り出されてくるんだけど、練習みたいな感じする。きれいに決まって見えないのだ。(全体に身体の使い方が雑な印象がある。オニのようにユニゾンがそろうとか、ストリート系ならではの厳密さも感じられないし)

帰ってから思ったけど、そもそもここのダンサーたちのがっしりした身体と、与えられている動きの質が合ってないんじゃないだろうか? こういうのはもっときゃしゃで、特にヒップホップ素養のない人でもむしろ合うのではないのかな。

ありていに言って、私はかなりつまらなかった(やや苦行)。これならBボーイのブレイキン観てたほうがよっぽど「すかっ」とする。笑える要素もないしさ。ABDCのダンサーたちのほうが、振りも工夫しているし、捨て身で難易度高いことやってるよ、と思った。まあ拍手喝采相当に浴びてたので、みなさん気に入ってたかもしれません。

確かにコンテとヒップホップの要素が同居してるとは言えるけど、互いの良いところが生かされていただろうか?いつも思うけど、「コンテンポラリー」という枠にはまることで、自由度が抑えられてしまうなら(いわゆる「コンテっぽく」なるだけで、新しさとかハイブリッドな刺激が失われる)、そのもともとのストリートなりジャズって枠で冒険したらどうなのかな。してほしい、というのが個人的には願いです。

ダンサーたちfrom Brazil 頑張っていたようなので申し訳ないけど、うーん…だったなぁ。これで今年を終わらせず、もちっとましな作品を年内に観たい。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索