坂本龍一、自身を語る。

ここに何度か書いたけれども私は決して氏のファンではなくどっちかというと「理詰めな人」というイメージがあったし、することなすこと端整でちょっとなぁー…と思っていました。

が、これ読んでむちゃくちゃ好感度上がる。もう「教授」という通り名を越えて国際的に評価される大家だろうけれども、語り口(インタビュー)に驕りや変な屈折が感じられず、あまりに素直なのに驚いた。随所で言葉にされる「情」の抑えた表れ、繊細な感性にもやられました。(「アートスクール」ぽい気どった若者だったんだろうと勝手に思っていたけど実はガテンな硬派とも知る)

巨匠ベルトルッチに使い倒される(突如として『ラスト・エンペラー』の音楽を依頼され、過労で入院するほど根詰めて2週間で44曲を仕上げたが、試写会でその渾身の作品がおよそ半分もボツっていたことを知り「椅子から転げ落ちるほど驚いた」)エピソード。

YMO始動時のロンドン公演。自身の曲に合わせて男女が踊りだしたのを見て“「こんなカッコいいカップルを踊らせているんだから、俺たちって、俺ってすごいぜ、みたいな、そんな恍惚感を演奏しながら覚えた。電気が走るような感じ。」
そして「そうだ、これでいいんだ」と思った。”エピソード。

名盤(私もこれは大好き)「アウト・オブ・ノイズ」を「生け花のような音楽」と表現しているのも趣深い。「作り出したものというよりは、そこにあるものという感じ」…。

欲を言えばYMO時代の「確執」や、矢野顕子の話も知りたくなったったけれども(読み進むにつれてさらに知りたくなる人、ということ)…図書館で借りて読んだが読み返したかったので買った。

「音楽は自由にする」Musik macht freiというタイトルが素敵だがこれは人(器)を選ぶという気がする。読み終わってみると、実に合ってると思う。私は「ダンスは自由にする」とか(まだまだ)言えません。

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